ストレスについて(序論)
日常生活、社会生活を営んで行く上で我々は絶えず大小ストレスに晒されています。対人ストレス、職場ストレス、家族関係ストレス、通勤ストレスなど多種多様なストレスが思い浮かびます。人生に起きるライフイベントは、昇進・結婚といった喜ばしいものも含めて“ストレス要因”になり得ます。
4月は新年度となり、進学、進級、入社など人生の節目となる変化が起きる時ですね。こうした変化は少なからず精神的には負担を生じています。
ストレスという用語は正確にはその圧力を受けている状態を指すもので、状況や環境から圧迫してくる要請(課題)の一つ一つはストレッサーと呼びます。そのストレッサーの大きさ、性質とそれを受ける個人的要因(個人的特質・能力や支援体制、対処能力、意欲などなど)の掛け合わせで、ストレス反応が起こります。
ストレスは大概厄介なものですが、個人の成長にはなくてはならないものです。つまりうまくストレスを乗り越えられれば自信になり個人の成長を促します。日々のストレスには個人の人間的・社会的な成長を促すという側面があります。ストレス研究で有名なセリエは「ストレスは人生のスパイスである」と表現しています。逆に言えばストレスがない人生はスパイスがない料理のように味気ないということでしょう。
しかしその掛け合わせの結果、対処困難に陥りその重圧に疲弊し、困ったストレス反応が生じることがあります。
ストレス反応は様々です。飲酒や買い物という嗜癖・依存に向かうもの(行動的な反応)や不安や抑うつ、イライラなど心理的な不調をきたすもの、そして頭痛、腹痛、動悸などの身体症状になってしまうものなどがあります。
多くの場合こうした状況で相談に来られた場合、対人的、環境的ストレッサーと個人の能力の掛け合わせから生じているということから適応障害あるいは心因反応という診断の元、治療的な関わりをさせていただいています。季節的な要因が絡んでくることもあったり、ホルモンなど身体的な状況も絡んできたり、さらには見えずらい心理的な要因が絡んでくることもあるため、評価が難しいこともあります。こうしたストレス応答は本来生体に備わっている心身相関を通じて病いと密接に繋がっています。