摂食障害・食行動異常の治療
摂食障害には、食事がほとんど取れなくなる神経性食思不振症(いわゆる拒食症)と神経性過食症(いわゆる過食嘔吐症)があります。思春期・青年期に発症することが多く、男性の方もいますが女性に多い病いです。拒食症では極端にまで体重が減り、みるからに病的な容貌になります。いづれも適切に治療がなされないと5%前後の方はこの病気で命を落とすと言われています。過食嘔吐と拒食を繰り返す方もいます。やせが激しく、症状が重い方は、入院治療も必要となります。
自分自身では解決できない何らかの葛藤を抱えており、それを原因として拒食・過食嘔吐という逸脱した食行動につながっている方もいます。その場合は、食行動の改善に加えて、抱えている葛藤の解決のための治療を受けることが望まれます。
治療
摂食障害の治療は、痩せが激しく身体機能の低下が生じている場合は、栄養状態の改善を優先する必要があります。まずは摂食障害の患者さんを受け入れている精神科病棟を有する総合病院で治療を行い栄養状態の改善をする必要があります。栄養状態はそこまで切迫していない場合で、拒食・過食嘔吐を止めたいと思っている方は、通院治療にて薬物治療と精神療法(力動的精神療法、行動療法、認知療法、対人関係療法、家族療法など)を行うことで改善を図ることができます。当院で可能な精神療法は限られていますが、提携しているカウンセリングルームでカウンセリングを並行して受けていただくことが出来ます。
また食行動異常の背後にパーソナリティ障害や発達障害、気分障害、心的外傷後ストレス障害、精神病など治療が必要な精神的な病いを抱えている場合もあります。拒食・過食嘔吐に悩んでおり、止めたいと感じている方は、近くの医療機関に相談されることをお勧めします。