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強迫性障害の症状とその治療

[2018.05.02]

〈わかっちゃいるけどやめられない〉という厄介なことを起こすものに、嗜癖と依存とこだわりと強迫があります。例を挙げてみると、嗜癖では、ギャンブル・性的逸脱など、依存ではアルコール・精神作動薬依存・脱法違法薬物・万引き・最近ではネット依存ゲーム依存などがあります。しかしこの嗜癖と依存の両者の区別は困難な場合が多いと感じます。脳や身体がなりふり構わず(体を蝕んでまで・重要な人との関係を破壊してまで・生活や人生を犠牲にしてまで・法を犯してまでなど)それを求めるという点でどちらも厄介です。
こだわりは、自閉症傾向のある方にみられることも多く、ゴミ屋敷の元となるため込み症などはその範疇に入るでしょう。
そして今回は強迫性障害の症状について一例を挙げて、どう理解するか、触れてみたいと思います。
今冬はインフルエンザが大流行しました。インフルエンザが流行ってきた時期にマスクをして手洗いもしっかりやろうと思い実践した方も多くおられたのだろうと思います(これは基本的な衛生管理で大切なことです)。そして満員電車に乗るときにマスクを忘れたとわかったら、途端に不安に襲われ、咳をしている人の側から即座に離れたり、近くの店でマスクを購入したり、家にマスクを取りに戻ったりする方もおられたでしょう。
ここまでは通常の事と理解できますが、さらに「咳をする人の近くにいただけでインフルエンザにかかったことになり、その結果命を落とす(これが強迫観念に当たります)」という思いに襲われ、それが頭から離れなくなると流行時期には外出も出来なくなってしまいますね!この思いは実際には行き過ぎておりそんなことはないと頭(前頭葉)で理解していても、脳の奥底から沸き起こる恐怖心が作動するので体が反応してしまい外出できなくなるか、その不安・恐怖に対する打ち消し行為をするようになります。
打ち消し行為には、外から帰ると必ず入浴し下着含めて全て着替え洗濯する、手洗いを1回何十分もそれも何回もしつこくやる、家族に自分がインフルエンザにかかっていないか何度も確認するなどが起きるでしょう(これが強迫行為確認行為です)。
そして家族にもインフルエンザにかからないようにマスク着用(家の中でも外させない)や執拗な手洗いを要求する、帰ってきたら必ず着替えさせるという行動に出る事もあり得ます。こうした方は巻き込み型といって巻き込まれたご家族が疲弊します。
強迫症状の治療では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類される抗うつ薬などで効果がある方がいます。それに加えて認知行動療法的な精神療法を行い徐々に強迫観念・強迫行為を起こす脳の反応を弱め、そこから徐々に自由になっていく治療が行われます。強迫症状は様々な形がありますが、代表的なものには、戸締りの確認、手洗いなどの清潔強迫などがあります。またこうした強迫症状の背後に、発達障害やパーソナリティ障害、精神病などの精神疾患が隠れていることもあります。
こうした症状にお悩みの方、ご家族は近くの医療機関にご相談されることをお勧めします。なおこのコラムの始めに取り上げた嗜癖・依存は、より専門的な治療が必要となりますので、その場合は嗜癖・依存の治療ができる医療機関かどうか確かめてから受診されることをお勧めします。

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