ご家族との連携・相談
精神科の疾患は、他者とのつながりづらさや社会・地域の中への融け込めなさといった人間的な基本的営みにも影響が生じるため、周囲の理解がないと病いの世界に追い込まれてしまいます。
ご家族が十分にその病いについて理解し、本人の言動に対する病いの影響を見極め、適切に対処していくことが出来ると、患者さんにとってはそれ自体が治療的な効果を生みます。治療は患者さんと主治医との間の治療関係によってなされますが、ご本人の同意のもとでご家族にも治療の輪の中に入っていただけると、ご家族の中で本人の病いに対する理解も進み、本人をめぐる悩みを家族内で抱え込むことも少なくなります。そしてご本人にも良い影響を及ぼすことになります。
望ましくない状況は、ご家族とご本人そして治療者の間に亀裂が生じることです。これを放置したままにしておくと治療は危機を迎える可能性が高いでしょう。その亀裂は何らかの問題が具現化したものですから、それ自体を取り上げ、解消していくという作業が必要です。そのためにはご家族にも診察に同席していただき話し合うことになります。望ましくない状況でも対処次第では、ご本人の治療を推し進めるきっかけになります。
ご家族が何か引っかかるもの、心配のことなどがあれば、ご本人の同意の元、診察に同席していただくことが出来ます。診察に同席を望まれる場合は、ご本人の了解を得た上で一緒にご来院ください。診察に同席することが難しい場合は、ご家族から主治医に伝えておきたい情報があれば電話や書面でお伝えいただけると治療の参考にさせていただきます。ただご本人の同意がなければ診察で得られたご本人の情報は原則ご家族にもお話しすることが出来ません。これは治療関係を安定して維持する上で基本的な事ですのでご理解いただければと思います。